ずっと悩んでいたことがあった。
好きなものがわからない。いや、わからないというか答えられない。
これが地味に長らく悩み続けていたテーマだった。どうでもよいと言えばどうでもよい悩みで、死ぬほど悩み苦しんでいたわけではまったくないんだけど、「好きなものは何ですか」や「休日は何して過ごすんですか」といった、社交の場で何かと持ち上がるこの質問にいつも即答ができず、自分のコミュニケーション能力の無さが顕著に露見したショックで絶望することが度々あった。絶望するほどでもないんだけど、なんだか情けない気持ちになったし、無難な回答がないだろうかと考えれば考えるほど答えは見つからずにいた。
でも、ようやく最近わかった。好きなものや趣味を問われた時の明快な答えが。
好きな食べ物はカレー。
趣味は古い建物や看板の写真撮影。
休日は近所の商店街を歩く。
なんだか「好きなもの」を語ることに対するハードルを勝手に上げ過ぎていたように思う。別に語るほどのおもしろさがなくてもフォトジェニックじゃなくても、パッと思いつく事実を素直に答えりゃよかったのだ。社交の場だし、だいたい社交辞令だし。
自意識ってやつはなかなか捨てきれないものだなあ。
そうとわかったらカレーが食べくなってきた。LEEの辛さ20倍を食いて~
ボールにいっぱいのポテトサラダが食いて~
かしこ