もともと雑誌はすきでちょいちょい買うことはあるんだけど、ファッション誌に関しては最近読む機会が減っていた。ある程度自分の好みも固定されてきて、都度流行のファッションをチェックするということをあまりしなくなったのと、東京に暮らしていれば街の人々を見るだけで何が流行っているのかはなんとなく知ることができるから、というのが大きいと思う。
ただ最近、街でスカートのスリットを前方にして履いてる女性をよく見かけるようになって、あれ?スリットってふつう後ろじゃなかったっけ?ってソワソワしてたのですが、最近は「フロントスリット」と呼ばれふつうに流行しているスタイルらしい。っていうことがあって、ただ街を眺めるだけではなく、根拠のある情報がほしくなって、久々にファッション誌を読んで今時の流行を体系的に勉強してみようかなと思い始めたのが一昨日くらいの話。
本屋の話
定番の人気ファッション誌を久々に読もうと思い、ふらふらと近場にあった本屋に立ち寄った。この本屋は、最近流行りのコンセプト型?本屋で、店内でコーヒー飲めるし雑貨とか売ってて、ちょこちょこ文化人を招いてイベントしたりするみたいなんですね。まあそれは良いとして、雑誌コーナーに行ってみたら、読もうと思ったnon-noとかSEDAとかSweetが無かった。あれー有名どころの雑誌のはずなのに変だなーおかしいなー、と思ったけど、ここはコンセプト型の本屋。POPEYEの表紙で有名なイラストレーター長場雄氏のイラストTシャツや、廃品で作ったアクセサリーを展開するブランド「NEWSED」が置いてあって、書店員がコーヒーを淹れたりしている。たぶん、意図的にセレクトした雑誌のみを前面に出していて、先にあげた雑誌は当店では積極的に売り出さなくて良いと判断したのかもしれない。コンセプト型だから。
雑誌の話
あとで知ったけど、そもそもSEDAは休刊しているらしい。高校~大学時代にはよく読んでいた雑誌だった。そういえばPSとかCUTiEも今は発売していない。ZipperやSoup.はご健在のようだ。他にも、今大人になった人々が若い頃に親しんできた雑誌はどんどん姿を消しているようだけど、確かに今のインターネット&スマホ時代、わざわざ流行のファッションを学ぶために雑誌を買うってことはしないんだろうな。それこそ普通に流行を追うんだったら、InstagramとかWEARとか見れば良いわけだし。雑誌にしても、さっきのコンセプト型本屋のように商品の本をコーヒー飲みながら椅子に座って読めるようになってたりするし。わざわざ雑誌を買う必要性はなくなってきているように思う。
でも雑誌はまだ存在し続けている。BRUTUSやPOPEYEをはじめとしたマガジンハウス軍団や、KINFOLKとか&Premiumのようなコンセプト色強めのライフスタイル・カルチャー誌なんかは、一定の人気を得て流行ってると思うし、逆に言うとライフスタイル!カルチャー!みたいな、個性がハッキリした雑誌自体はどんどん増えてきたように感じる。
こういうライフスタイル系の雑誌は、コンセプトがハッキリしているから世界観に共感しやすいし、デザインも洗練されているので、物としてい手に入れたい、残しておきたい、飾っておきたい、という動機にもなる。
雑誌は単に情報を消費できるものとしてというより、世界観の提示とか、物体としての価値がないとなかなか生き残れないっていうことなのかもしれない。
というのは、モノが売れない時代のほげほげ、みたいな話として、最近よく語られている印象があるけど、今回はそれを改めて実感したような気がする。
所感
一般論だけど、ネットやデジタルが主流になり、いろんなサービスが無料で使えるようになった今、あえて物質的なものを購入するという行動には、熱狂的なファン精神とかコレクター精神とか、何かしらの熱量を駆り立てるものが必要なんだろうと思う。雑誌もそうだし、CDとかカメラとかも同じような感じかも。YouTubeじゃなくてCD、スマホのカメラじゃなくて一眼レフ、のような動機にはきっと、見た目がイケてる!というものもあるだろうし、あのバンドを応援したい!とか、家族の記録をきちんと残したい!とか、こう生きたいぜって思わせる情緒的な要素がありそう。
コンセプト型の本屋にしてみても、単に本を売ります!じゃなくて、ライフスタイル提供します!みたいな場を作ることで、誰かの何かの動機を駆り立て、本を売る以外の形で商売が回せるようになりましたパターンなのかもしれない。実際どうなのかは知らないけど。私もこの本屋でNEWSEDのピアス買ったけど。
なんだか小難しい話になってしまった。結局当初の目的であった今時の流行を学ぶこともできていないし。出直してきます。