2015年3月21日土曜日

ZUCCaの話

昔のブログを読み返していた。高校3年~大学頃のもの。

新しい人間関係築かなきゃいけないのが億劫、という理由でずっと塾というものには通いたくなくて、DMの漫画がおもしろいことで有名な進研ゼミ一本で大学受験に挑んだ頃に始まり、晴れて志望校に合格して東京一人暮らしをスタートしてからの日々が綴られていた。読んでみた感想は、意外とちゃんと自炊してたんだな、というのと、好きなものも全然変わってないな、というもの。

ZUCCaというファッションブランドが昔から好きだった。そのことがブログにも何度か書いてあって、あーこの頃から好きだったっけ、と懐かしい気持ちになった。


ZUCCaとの出会いは大学受験期間中。新宿を拠点に2週間ほど東京に滞在していたんだけど、当時新宿の小田急百貨店にZUCCaがありまして(たぶん今はもう無い)。試験の合間に、たまたま立ち寄ったZUUCaで目にした、どシンプルな長財布に心奪われた私は、「合格したらこの財布を買って、おしゃれ東京生活はじめるんだ」と心に決めていた。
そして本命大学の試験の日、前日に謎の腹痛と吐き気に見舞われホテルのトイレで失神するなどしつつも、なんとか無事に最後の試験を終えた。試験後に大学まで迎えに来てくれた母と一緒に、雨で冷えた体を温めようと入った近くのモスバーガーは、お腹を空かせた大学帰り、ZUCCaの長財布片手によく通う場所となった。


慌ただしく始まった東京一人暮らし、そして大学生活。新しい人間関係を築くのが億劫な自分が、誰一人知り合いがいない中でどうにか友人を作り、それなりに愉快に楽しく大学生活を送っていたのは奇跡的だし、単純に運が良かったなと思っている。

そんな大学時代から今もずっとつけている指輪がある。これもZUCCaのものだ。かつて大切な人にもらった、とかいう素敵なエピソードは全くなく、普通に自分で買ったのだけど。
ZUCCaのロゴが刻まれた、少しゴツい見た目のこの指輪を買ったのは、新しい生活環境に少なからずストレスを感じていた大学入学当初。始めたばかりのバイトでは、これまで関わったことのないタイプの、強面でイケイケの店員に怒られるばかりで、毎日吐きそうだった。受験中とまではいかないが、わりと鬱々としていた時だったので、なんとか自分を奮い立たせるべく、近所の東急にあるZUCCaを冷やかしに行った時、わりと手ごろな値段で指輪が売っていた。買わない理由はなかった。


以来、毎日ずっと身につけている。あなたといえばこの指輪だね、と言われるくらいに、一心同体と化している。夏は毎度、指輪焼けができた。でもはずさないから気にしなかった。自分で言うのもなんだが、「かっこいい指輪だね」と、褒められたことも多々あったんだぞ。
どうでもいい話なのだけど、昔かの有名少女漫画NANAを8巻くらいまで読んだことがあって。その1巻目で、確か主人公の奈々が初めてナナと出会った時、ナナがつけていたVivienne Westwoodの指輪を見て、「年季が入っててかっこいいなー」とか言うシーンがあった。自分のボロボロのZUCCaの指輪もそんな感じに見えたのかも、と謎の満足感に浸ったりしたもしていた。懐かしい。


そんな感じで、大学時代は大した経験も才能も無いくせに、変に背伸びしたりお洒落ぶったり、月並みにウェイウェイ調子乗ったりしてたわけですが、自分では月並みはイヤだと思っていたから、大学の卒業式は袴を着たくなくて、ZUCCaのワンピースを着ていった。入学前に買った長財布と同じ、真っ黒いやつを。そして入社前には、新しくCABANE de ZUCCaの時計を買って、毎日つけていた(使い込み過ぎたので、今は少し休ませている)。


という具合でここ7年間は、毎日何かしらZUCCaがある生活を送っている。7年前から今でもよく身につけているのはボロボロの指輪。特別なセンスや才能や経験がなくても、長い間変わらず好きなものがあるというのはちょっとした自信になるし。身につけると元気になれるものがある、というのは良いものだ。これは完全な自己満足でしかないのだけど。



「中学生男子みたいな財布ですね」とか、「ゴツい指輪だな」とか、「もっとカラフルな恰好したらいいのに」とか言われたこともあるけど、まあそれが全部っていうわけじゃないから、どうかお見逃しください。


以上、好きなものの話でした。

かしこ。