最近、「好きなものは何?」と聞かれる機会が、たまたま立て続けにあったんだけど。
いざ何が好きかと問われると、改めて自分は何を好きだと言えるのかがわからなくなって、
毎回この質問に対して即答ができずにいる。
これは今に始まったことではなく、前からそうだった。
たとえば「好きな食べ物は何?」という質問。
これがすぐに答えられなかった。
こんなベタな質問も久々にされたけど、
こんな子供でも答えられるような質問に答えられなかったのは、自分でもびっくりした。
基本的に食べ物の好き嫌いがない。
特別舌が肥えているわけでもないので、基本何でもおいしいと思うし、
何かをまずいと思うことは滅多にない。
とはいえ、すべての食べ物に対して同じ程度のおいしさしか感じない、ということはない。
あまりのおいしさに思わず笑みがこぼれたり、しばらく放心状態になったり、
一生心に残っているおいしい食べ物、という存在は自分の中にもある。
あの旅行で食べた鶏肉とか、あの離島で食べた海鮮の網焼きとか、母の作った煮豚とか。
ただ、「好きな食べ物は何?」の質問の答えとなるような
ある一般的なカテゴリの食品や料理名となると、なかなか思いつかない。
結局苦し紛れに答えたのが、豆腐とそうめん。
これは間違いなく好きで、毎日のように食べている。
なんだけれども、「好きな食べ物は何?」の答えとしてはふさわしくない気がする。
なんというか、食べ物としては日常的すぎるし、
「好きな食べ物は何?」という質問の答えに期待されているであろう面白味というものがまったくないからだ。
あまりにも答えに悩んでいたものだから、
「めっちゃ仕事がんばったあと、ご褒美に食べたいものは何?」
と、ざっくりした質問をかみ砕いて質問しなおしてもらったにも関わらず、やはり答えられなかった。
いちおう頭の中に思い浮かんだ答えはあったのだけど、
「仲間と乾杯して飲むビールと冷や奴」みたいなものだったので、
こんな答えを期待されているわけあるまいし、これじゃないよなと思いなおして、口には出さなかった。
他にも趣味は何だ、好きな音楽は何か、みたいな質問をされた時にも、
やはり自信を持ってできる回答を瞬時に思いつくことができなかった。
趣味とか好きなもので言えば、音楽鑑賞とかテレビ、コーヒー、写真とか、あるにはある。
が、あまりに日常的に行い過ぎていて、改めて誰かを相手に語るにはとてつもなく面白味がない気がする。
その面白味のなさが申し訳なくて、質問されても口ごもってしまうことが多い。
こう振り返ってみて思うのは、
問題は自分の好きなものがわからないことではなくて、
自分の好きなものをおもしろく語る能力がないってことなんだろうな。
あと基本的に好きなものが思い出や環境込みであることが多いので、
ともなると余計におもしろくエピソードを語ることが求められるだろうから、なおさら黙りがち。
話が下手くそなのは今に知ったことじゃないのだけど。
かしこ。